燃える炭火に照らされた夕べ


この作品はドビュッシーの亡くなる前の年、1917年の2月から3月にかけて作曲されました。

当時世の中は第一次世界大戦のさなかで、暖炉にくべる石炭がとても貴重でした。
そんな状況下でドビュッシーは大腸癌を発症したため、石炭が手に入るか否かは彼にとって死活問題でした。

そのような折、病にあえぐドビュッシーに石炭を調達してくれた商人がいたのです。
そして商人は、ドビュッシーに1曲書いてくれないかと頼みました。
そう、それがこの曲、「燃える炭火に照らされた夕べ」なのです。

タイトルは詩人ボードレールの詩「バルコニー」の一節に由来します。

後期の彼の自由な作風の影も見られつつ、温かな雰囲気が流れる小品。

病に侵され、創作もままならなかった彼が、どんな思いでこの曲を完成させたのか、考えさせられます。


(Y)

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